遺言執行とは?弁護士に依頼するメリットは?
遺言の作成と一緒に遺言執行を弁護士に依頼すべき理由
遺言執行者は遺言の内容を実現する権利義務を有する者であり、遺言を滞りなく執行することが任務です。では、遺言執行者にはだれを指定しておくべきでしょうか。
もちろん、遺言執行者には親族や相続人を指定することもできます。親族等を遺言執行者に指定した場合、遺言執行者の報酬も発生しないのが通常ですので、費用面ではメリットがあるかもしれません。
しかし、できる限り、遺言執行者は、遺言や相続に詳しい信頼できる専門家である弁護士に依頼しておかれることをお勧めいたします。
もちろん、弁護士などの法律専門家や信託銀行などに依頼した場合は遺言執行報酬が発生しますが、 円滑な執行、トラブルの防止 という意味では、費用以上のメリットがあるのではないでしょうか。ただ、弁護士に依頼すると大変な手続きから解放され、円滑に遺産分割を進めることができます。
遺言執行は大変な手続です
煩雑な手続をしなければならない
遺言執行者は、就任してから業務の完了までに概ね次のような業務を行わなければなりません。
- 就任承諾をした旨を相続人全員に通知
- 戸籍謄本等を収集して相続人を確定
- 相続財産の調査をして財産目録を作成し、相続人に交付
- 法務局での各種登記申請手続
- 各金融機関での預貯金等の解約・払戻し手続
- 証券会社での株式等の名義変更・売却手続
- その他の財産の換価手続
- 遺言の執行状況の報告と完了の業務報告
- 遺言執行の妨害をしている者がいる場合はその者の排除
- 必要な場合には、遺言執行に必要な訴訟行為
これだけ見ても相当な業務量であり、大変そうではないでしょうか。
仕事を抱えた方ですとなかなかスムーズに進めることは難しいでしょうし、金融機関も法務局も基本的には平日の日中しか対応してくれませんので、お仕事を休んで対応しなければならず、負担も大きいかと思われます。
相続人間の対立によるトラブル発生のリスクがある
これに加えて、遺言の内容に不満を抱えている相続人や執行が円滑に進まないことで不満を募らせる相続人からの非難を受けることもあり、せっかく遺言を作成して遺言執行者まで指定したのに、親族間での紛争に発展する可能性もあります。
- 「なぜ私ではなく、お前が遺言執行者なんだ?!」
- 「本当にこれが遺産のすべてなのか?」
- 「早く手続きを進めろ。遅いぞ」
など、ただでさえ負担が重い遺言執行業務を抱えながら、不満を抱える相続人との対応にも追われることになります。
また、逆に、遺言執行者である相続人が、自分が取得できる財産についてのみ名義変更等の手続をして、その他の相続人が取得する財産に関してはその相続分を引き渡さなかったり、業務を放棄してしまう危険性も考えられます。
遺言執行を弁護士に依頼するべき理由
この点、相続手続に精通した弁護士に遺言執行者を依頼した場合には、相続人がストレスを感じる煩雑な業務から解放され、また執行手続も円滑に進み、結果として早期に財産を取得することができます。
また、公平な立場、専門家としての立場から手続を進めることで、相続人間の不信感が生じることを防ぐことも可能です。
このように、残された家族がもめないために遺言書を作成するのであれば、遺言執行者の指定についても専門家である弁護士を指定しておくのが望ましいといえるでしょう。
また、内容が複雑な遺言の場合、事業の承継のためなどに、形式的には不公平な割合での相続を考えている場合、遺贈がある場合、廃除の規定がある場合など、相続人間でトラブルが生じる可能性がありそうな遺言を作成する場合などでは、相続の専門家であり、また唯一法的紛争を扱うことのできる弁護士に遺言執行者への就任を依頼しておくことを検討すべきです。
故人の遺言書が発見され、どうすればよいかわからない方へ弁護士費用
遺言執行(弁護士が遺言執行者になる場合)
-
遺産額 費用(税込) 内容の説明 遺産評価額が
300万円未満33万円 ・相続財産目録の作成と相続財産の保全
・遺言書の内容に従って相続財産を分配
・株式等の有価証券の名義変更、預金の払戻し
・不動産の名義変更(協力の司法書士に依頼)
・故人の貸金の取立て
・故人の債務の履行
300万円を超え3000万円以下の場合
遺産評価額の3.3%+26.4万円
3000万円を超え3億円以下の場合
遺産評価額の2.2%+59.4万円
3億円を超える場合 遺産評価額の1.65%+224.4万
★注
特に複雑又は特殊な事情がある場合は、弁護士と受遺者との協議により定める額とします。
遺言執行に裁判手続を要する場合は、遺言執行手数料とは別に裁判手続に要する弁護士費用が発生することもあります。
遺言執行サポート(弁護士が遺言執行者の代理人になる場合)
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遺産額 費用(税込) 内容の説明 遺産評価額が
300万円未満22万円
・相続財産目録の作成と相続財産の保全
・遺言書の内容に従って相続財産を分配
・株式等の有価証券の名義変更、預金の払戻し
・不動産の名義変更(協力の司法書士に依頼)
・故人の貸金の取立て
・故人の債務の履行
遺産評価額が
300万円以上22万円(弁護士報酬)+金融機関数×3.3万円+遺産評価額の3.3%
★注
単なる不動産の相続登記手続の部分は遺産評価に算入しない。
遺産分割協議書執行は遺言執行に準じる。